目次
▪️親知らずとは
親知らずは、永久歯の中で最も奥に、最後に生えてくる歯(第三大臼歯)です。
現代人は顎が小さく、親知らずがまっすぐ生えるためのスペースが不足しがち。そのため、横向きに埋まったままになったり、歯の一部だけが顔を出したりして、強い痛みや腫れ、手前の歯をむし歯にするなど、様々なトラブルの原因となることが少なくありません。
症状がなくても、将来的に問題を引き起こす可能性があるため、歯科医院を受診して状態を確認することが大切です。
▪️なぜ親知らずはトラブルが起きやすいの?
斜めや横向きに生えてしまう
親知らずが収まるためのスペースが不足していると、親知らずは無理やりスペースを見つけようとして、斜めに傾いて生えたり、真横を向いたまま骨の中に埋まったりしてしまうことも。これにより親知らずが手前の健康な歯を強く押してしまい、歯並び全体を乱したり、歯の根を溶かしたりすることがあります。
歯の一部だけが顔を出す(半埋伏)
親知らずが完全に生えきることができず、歯の一部だけが歯ぐきから顔を出した状態になることも多く見られます。この中途半端な状態は、歯と歯ぐきの間に深い溝や隙間を作り出し、非常に汚れが溜まりやすい温床となります。
一番奥で清掃が難しい
たとえまっすぐ生えたとしても、親知らずは歯列の一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、非常に磨きにくい場所です。そのため、磨き残しが多くなり、親知らず自体や手前にある大切な奥歯(第二大臼歯)がむし歯になってしまうリスクが非常に高くなります。
親知らずは抜いた方がよい?
必ずしもすべての親知らずを抜く必要はありません。まっすぐ正常に生えており、歯磨きもきちんとできていて、トラブルの原因になっていなければ、抜かずに残すことも可能です。
しかし、斜めに生えて手前の歯に悪影響を及ぼしたり、痛みや腫れを繰り返したり、清掃が難しくむし歯になったりしている場合は、口全体の健康を守るためにも抜歯が推奨されます。まずは歯科医院のレントゲンで親知らずの状態を確認し、抜歯すべきかどうか歯科医師と相談することが大切です。
▪️その親知らず、放置は危険かも。
抜歯を検討すべきサインとは
当院では埋没した親知らずなど難しいケースを含めて、さまざまな親知らずの抜歯に対応しています。
痛みや腫れを繰り返している
親知らずの周りの歯ぐきが、体の抵抗力が落ちたときなどに炎症を起こし、痛みや腫れを繰り返している場合です。これは智歯周囲炎(ちししゅういえん)と呼ばれ、重症化すると口が開きにくくなることもあります。
親知らず自体や手前の歯がむし歯になっている
親知らずは一番奥にあり、斜めに生えていることが多いため、非常に歯磨きがしにくい場所です。そのため、親知らず自体だけでなく、その手前にある大切な奥歯(第二大臼歯)までむし歯にしてしまうリスクが非常に高くなります。
斜めや横向きに生えて歯並びに影響している
親知らずが横向きに生え、手前の歯をぐいぐいと押し続けている場合、全体の歯並びを乱す原因となることがあります。矯正治療を行う際には、後戻りを防ぐために抜歯が必要となるケースも多いです。
歯ぐきの中に完全に埋まっている
親知らずが歯ぐきの中に完全に埋まっている状態(完全埋伏)でも、レントゲン検査で隣の歯の根を溶かしていることが分かったり、嚢胞(のうほう)という膿の袋を作っていたりする場合があるときは早期の対処が必要です。
噛み合う相手の歯がなく、歯ぐきを傷つけている
片側の親知らずだけが生えていて、噛み合う歯がない場合、親知らずが徐々に伸びてきて歯ぐきや頬の粘膜を噛んでしまい、傷や口内炎の原因となることがあります。
▪️親知らずを抜くことで得られる大きなメリット
親知らずを抜歯するメリット
将来の痛みや腫れのリスクを取り除く
親知らずが原因で起こる「智歯周囲炎」は、一度なると再発しやすい厄介なトラブル。原因となる親知らずを抜いてしまえば、痛みや腫れに悩まされる根本的なリスクがなくなります。
手前にある大切な歯を守る
親知らずは非常に磨きにくいため、手前の健康な奥歯(第二大臼歯)まで巻き込んでむし歯にしてしまうことが少なくありません。親知らずを抜くことは、この最も重要な奥歯の健康を守ることにつながります。
口臭の改善と清掃性の向上
汚れが溜まりやすい親知らずは、口臭の原因になることも。抜歯することで口の中の清掃性が格段に向上し、衛生的な環境を保ちやすくなります。
歯並びへの悪影響を防ぐ
横向きに生えた親知らずが手前の歯を押し続け、歯並び全体に影響を与えることがあります。抜歯することで、歯並びの悪化を防ぐ効果が期待できます。
親知らずの抜歯に関する注意点
抜歯後の痛みや腫れ
抜歯は外科処置のため、術後には個人差はありますが、痛みや腫れ、内出血などが起こります。特に、骨の中に深く埋まっている親知らずほど、症状が強く出る傾向が。通常、痛みは2〜3日、腫れのピークは48時間後くらいで、1週間ほどで徐々に落ち着いていきます。
ドライソケットのリスク
ドライソケットとは抜歯した穴の血餅(かさぶた)が剥がれてしまい、骨が露出することで激しい痛みが続く状態。術後に強いうがいをしすぎたり、傷口を舌で触ったりすると起こりやすくなります。
神経の麻痺
下の親知らずの根の近くには、唇や顎の感覚を司る神経が走っています。根がこの神経に非常に近い場合、抜歯の際に神経が圧迫されたり傷ついたりして、術後に唇の周りに麻痺が残ることがごく稀にあります。当院では、事前にCT撮影などで神経との位置関係を精密に確認し、リスクを最小限に抑えているのでご安心ください。
▪️検査から抜歯、抜糸まで。
親知らずの抜歯の全ステップを徹底解説
ステップ1:カウンセリングと精密検査
まず、レントゲンや歯科用CTを撮影し、親知らずの生え方、根の形、そして下顎の神経との位置関係などを三次元的に詳細に把握。検査結果をもとに、抜歯の必要性、具体的な方法、そして伴う可能性のあるリスクについて詳しくご説明します。
ステップ2:抜歯当日の処置
まず表面麻酔を塗布した後、局所麻酔を十分に行い、処置中に痛みを感じないようにします。生えている親知らずであれば器具を使って歯を骨から脱臼させて抜き取り。親知らずが歯ぐきや骨の中に埋まっている場合は、歯ぐきを小さく切開して歯の頭を露出させ、歯をいくつかに分割して少しずつ丁寧に取り除きます。最後に、抜歯した後の穴(抜歯窩)をきれいに洗浄し、必要であれば切開した歯ぐきを縫い合わせて傷口を閉じます。
ステップ3:抜歯後の注意点と経過観察
抜歯後は、ガーゼを噛んでしっかりと止血。痛み止めや抗生物質が処方されますので、医師の指示通りに服用してください。腫れや痛みのピークは術後48時間程度で、その後は徐々に引いていきます。何か異常を感じた場合は、すぐにご連絡ください。なお、傷口を縫合した場合は、抜歯後1週間〜10日後を目安に抜糸が必要です。